「分かち合い」の経済学


「分かち合い」の経済学 (岩波新書)/神野 直彦
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実は本日1月28日にこの本の著者であり、総務省地方財政審議会会長の神野直彦氏と面談をいたします。

経緯としては、私が1社目に勤めていた会社で同じ福岡支店に勤務しておられた方(M落さん)が会社を立ち上げたのですが、そのM落ちさんが神野氏と面談をする事になっていました。

M落ちさんより今回の面談にあたって

「地域活性化を現場でやっている多田さんにも是非面談に参加いただきたい」

というお誘いを受け、その他の方も含め、総勢5名で神野氏と面談をする事になりました。

面談にあたって神野氏の最新の著作を読んで感想を共有しようという事になり、感想文を書いておりました。

折角ですのでブログにもアップしようと思います。

【以下、本の感想文】--------------------------------------------------—

現代は歴史の転換点であり、これまでの延長線上ではなく新しい社会の仕組みを構築していく必要があるという風に考えていましたが、本書を読んでなお一層その思いを強くしたというのが第一の感想です。

現代の社会においては、経済合理性を追求するあまり、自然環境も人的環境も破壊されております。この破壊されてしまった自然環境と人的環境を復活させつつ、これまでの発展してきた便利な文明の利器を良い形で活用できる状態を作っていく事が今後求められると考えております。

自然環境の面で言うと、よく言われる再生可能なエネルギーを活用して電気を使ったり自動車を動かしたりできるような技術が実用化されてきているという事は素晴らしい事であると思います。また、高度経済成長期には見捨てられてきた地方の農山漁村にも光を当てようという動きが内閣府の農村六起や総務省の地域おこし協力隊のように、農水省以外でも国家レベルでおこってきているという事もとても重要な事であると思います。

人的環境の面で言うと、自然環境に比べるとまだ特筆すべき取組みはなさそうですが、スローライフなどという言葉があるようにその重要性については多くの人達が認識しているが、実際は仕事に追われて精神をすり減らしている人が多いというのが現状なのではないかと思います。

「新自由主義の狙いは、富める者の富をさらに富ますことにある。」

という一文はまさにその通りだと感じました。

「1998年度以降、新自由主義にもとづく構造改革としての大減税が行われ、法人税や高額所得者の税率が引き下げられた。こうした減税により、赤字財政をつくりだし、社会支出に予算が使えない事を正当化されたという過程がとられた」

という事が書かれていたが、これが意図された事であれば、恐ろしい事であると思います。
少数のお金持ちが自分達のいいように社会の仕組みを民主的、合法的に作りかえてきた結果が今の格差社会を生みだしたのだと思いました。

しかしながら、現代はその格差社会の上位に位置する人にとっても安心できる時代ではなくなっていると思います。それは、環境問題、食糧問題、資源の問題が目の前の課題として避けられない状態になっているからです。

環境が破壊されつくしたら人間は地球上で生きられません。

食糧がなくなったら人間は飢え死にします。

資源が枯渇したら今の暮らし方に慣れた人間は生きていけません。

環境・食糧・資源は再生産されはするものの、再生産される以上のスピードで消費してしまうと、お金をいくら持っていても手に入らなくなってしまいます。

経済成長は無限に求められますが、環境・食糧・資源といった自然の恵みは有限です。
本来はお金というものは物と物を交換する媒介なので、お金も有限であるはずなのですが、投機マネーなどの存在により、バブルが膨らむと無限にあるような状況になっているように感じます。
しかし、本来はお金も有限なものなので、行き過ぎると2008年の世界同時不況のような状態になり、目が覚める事になります。

そういう意味では無限の経済成長というのはあり得ない事であり、数字上の経済成長よりも、自然環境や人的環境を回復させながら分かち合う経済活動が今後求められると思います。

神野先生は今後は産業構造を変えていく取組をしているスカンジナビア諸国が上手く行っているという例を出しておられました。そして、今後は知識産業が基軸となると書かれています。

農業にしても「知識集約農業が展開する事になる」とありましたが、私自身はそういう取り組みを今活動している農村でやっていきたいと思いました。

私が今の地域おこしの活動で当面目指しているのは持続可能な集落モデルを作っていく事です。
持続可能な集落モデルとは以下の状態を作り出すことです。

①物理的に生活が成り立つ状態(aある程度の現金収入とb生活に必要なものの循環・自給)
②お互いに顔が見える関係で助け合い、安心して楽しく生活ができる状態

そして、持続可能な集落モデルを作り出す活動には終わりはないかと思いますがこの活動をしながら、ある程度の状態にまでなれば、どんどん外部に発信し、全国のあらゆる過疎地の集落で同じような取り組みがなされるようになってほしいと考えております。

こうした事が実現する事で、自然環境にも人的環境にもよい社会で、皆が限りあるものを分かち合うような経済活動を行う社会を構築できればと考えて地域おこしの活動をしています。

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多田朋孔

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自然に囲まれながら、半分自給自足に挑戦しています
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